2026.04.02
キュービクルの基本構造と主要機器の役割とは

キュービクルは、電力会社から供給される高圧電力を施設で使いやすい低圧電力に変換し、分配するための設備です。キュービクルは、四角い金属製の箱のように見えますが、内部には安全かつ安定して電気を供給するための精密な機器が計算された構造で配置されています。
本記事では、キュービクルの構造や、内部に収められている主要な機器の仕組みと役割について詳しく解説します。キュービクルの仕組みを理解し、適切な保守・管理にお役立てください。
キュービクル(高圧受電設備)の基本的な仕組みと役割
キュービクル(高圧受電設備)とは、発電所から送られてくる6,600Vの「高圧電力」を、施設内で使用できる100Vや200Vの「低圧電力」に変圧するための設備一式を金属製の箱に収めたものです。主に、50kw以上の大きな電力容量が必要な工場などで使用されています。
キュービクルを構成する主要な内部機器・関連機器

キュービクルの内部構造は、電気を変圧する機器、事故を防ぐための保護機器、電力量を計る機器など、複数のユニットが連携して機能するように設計されています。
ここでは、キュービクルを構成する代表的な内部機器と関連機器の役割を解説します。
変圧器(トランス)
変圧器(トランス)は、キュービクル内において電圧を下げる(降圧する)という中核的な役割を担う機器です。キュービクル全体が高圧電力を施設で使える電圧に変換する設備ですが、実際にその「電圧を変える」作業を行っているのがこのトランスです。内部はコイルと鉄心で構成されており、電磁誘導の原理を利用して電圧を変換しています。
なお、古い油入トランスには、PCB(ポリ塩化ビフェニル)を含む絶縁油が使用されている可能性があります。PCBは毒性が非常に強く、「PCB特別措置法」により厳格な保管・処理が義務付けられているため、取り扱いには十分な注意が必要です。
また高濃度PCBはすでに処分期限を過ぎており、低濃度PCBについても2027年(令和9年)3月31日までに処分を完了する必要があります。
キュービクルに欠かせないトランスについて詳細はこちら
急がないと手遅れに…。低濃度PCB廃棄物の処理について詳細はこちら
遮断器・開閉器(ブレーカー)
キュービクルには、メンテナンス時の電源の入切や、電気的トラブルから設備を守るためのさまざまな開閉器・遮断器が組み込まれています。過電流や短絡などの異常を検知し、自動的に回路を遮断して、機器の安全を守る重要な装置です。
断路器(DS)
機器の点検時に、電気が通っていない状態を確実にするために手動で回路を切り離すスイッチです。
高圧負荷開閉器(LBS)
通常時に電気の入切を行うスイッチです。ヒューズ付きのものが多く、一定以上の過電流が流れるとヒューズが切れて電気を遮断します。
真空遮断器(VCB)
ショート(短絡)などの重大な事故が発生し、非常に大きな電流が流れた際に、一瞬で回路を遮断して火災や機器の破損を防ぐ強力なブレーカーです。
高圧進相コンデンサ・直列リアクトル
高圧進相コンデンサは、電気のロスを減らし、力率(電力の効率)を改善するための機器です。モータなどの誘導性負荷の力率が改善されると、電力会社からの基本料金が割引されるため、電気代の削減に直結します。また、コンデンサを設置する際に発生しやすい電圧の歪みを抑え、コンデンサを保護するために直列リアクトル(SR)という機器がセットで構造に組み込まれています。
なお、古いコンデンサにも、PCB(ポリ塩化ビフェニル)を含む絶縁油が使用されている可能性があります。先述の通り、低濃度PCBについても2027年3月31日までに処分を完了しなければなりません。
保護継電器(リレー)
保護継電器は、キュービクル内で異常な電流や電圧を検知するセンサーのような役割を持っています。過電流や漏電などの異常をいち早く察知し、先述の真空遮断器(VCB)などに遮断しろという信号を送ります。これらが連携する構造により、事故の被害を最小限に食い止めます。
電力量計と計器類

電力会社が電気料金を請求するため、あるいは施設側が電力使用量を管理するために必要な機器も収められています。
電力需給用計器用変成器(VCT)
6,600Vの高電圧・大電流を、メーターで安全に計量できる小さな電圧・電流に変換する機器です。
電力量計(メーター)
VCTで変換されたデータをもとに、実際の電力使用量を測定します。
PAS(気中負荷開閉器)

PASとは「PolemountedAirLoadbreakSwitch」の略称で、日本語では「気中負荷開閉装置」あるいは「気中開閉器」と呼ばれます。一般的には、電力会社(電力系統)とお客様の設備を分ける「責任分界点」の電柱上部に取り付けられている箱型の装置を指します。キュービクルが工場内部の電圧を変換する装置であるのに対し、PASは敷地外からの電気の入り口を管理しています。絶縁体として「空気」を利用しており、高圧の電気回路を安全に開閉する役割を持っています。
筐体
キュービクルの筐体自体も、内部の精密機器を守るために重要な構造をしています。屋外に設置されることが多いため、雨水やホコリの侵入を防ぐ防水・防塵構造になっています。また、変圧器などの機器は運転中に高温になるため、熱を逃がすための換気口や換気扇(ファン)が備えられており、内部の温度上昇を防ぐ仕組みになっています。
当社のキュービクルに関する施工事例をご紹介
キュービクル更新及び高圧ケーブル更新工事

古くなった高圧キュービクルとキュービクルから気中開閉器までの高圧ケーブルの更新工事を行いました。新規高圧ケーブル埋設用の穴掘り、配管敷設・取付から、古いキュービクルの撤去、新規キュービクルの据付け、耐圧試験・警報試験等までを実施しました。
キュービクル更新及び高圧ケーブル更新工事の詳細はこちら
高圧受電盤清掃

鋳造工場にて、高圧受電盤の清掃を行いました。粉塵が多いところなので、充電部を中心にきれいに清掃してほしいとのご依頼でした。
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進相コンデンサ・VCB更新工事

更新時期が来たため、進相コンデンサ・VCB・OCRを交換してほしいとのご相談をいただきました。短納期のご要望でしたが、メーカーにとらわれない柔軟な選定で納期を短縮しました。 施工面では、新旧機器のサイズ違いによる「ケーブル長不足」という課題に直面しましたが、機器の配置調整のみでクリア。配線の引き直しコストを抑え、既設ケーブルを活かした最適な工事を実現しました。
進相コンデンサ・VCB更新工事の詳細はこちらから
キュービクル工事ならサイテックにお任せください
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