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2025.10.06

  • 設備保全・補修

キュービクル(高圧受電設備)の交換・更新における注意点

工場やビルに設置されている高圧受電設備(キュービクル)は、高圧で受電した電気を100Vや200Vなどの低圧の電気に変換し、安全に利用するための心臓部ともいえる設備です。様々な機器で構成されており、経年劣化は避けられません。一般的に、20年に一度は更新工事が必要とされており、計画的な更新をおすすめします。本記事では、キュービクルの交換・更新を検討する際に注意すべき重要なポイントを解説します。

なぜキュービクルの交換・更新が必要なのか?

キュービクルの機器は常に電気を通しているため、時間とともに確実に劣化が進みます。この劣化を放置すると、以下のようなリスクが高まります。

停電事故の発生

経年劣化した機器は、突然故障して停電を引き起こす可能性があります。これは事業活動に甚大な影響を与えかねません。

感電・火災のリスク

絶縁性能の低下などにより、漏電や短絡が発生し、感電事故や火災につながる危険性があります。

電力損失の増大

効率の悪い古い機器を使用し続けることは、無駄な電力消費となり、電気料金の増加につながります。

これらのリスクを回避し、安全で安定した電力供給を維持するためには、定期的な点検に加え、計画的なキュービクルの交換・更新が不可欠です。

キュービクル交換・更新で得られるメリット

キュービクルの交換・更新は、単なる老朽化対策にとどまらず、施設の運用コスト削減や信頼性向上にも大きく貢献します。

コスト削減効果

新しいキュービクルを採用することで、大幅なコスト削減が期待できます。特に注目すべきは、変圧器(トランス)の性能向上です。2006年から始まったトップランナー制度は2014年に改定され、1999年のJIS規格と比べて、トランスのエネルギー変換ロスを約40%も削減することに成功しています。これにより、月々の電気料金を削減し、長期的なランニングコストを抑えることが可能です。

信頼性と安全性の向上

最新の機器に更新することで、故障のリスクが低減し、安定した電力供給が可能になります。また、最新の安全基準に適合した設備にすることで、万が一の事故のリスクを最小限に抑え、従業員や利用者の安全を確保できます。

キュービクル交換・更新における具体的な注意点

キュービクルの交換・更新は、専門的な知識と周到な計画が必要な工事です。以下の点に特に注意しましょう。

1. 計画的なスケジュールと費用確保

前述の通り、キュービクルは20年で更新時期を迎えます。以下の主要構成機器の耐用年数も参考に、計画的に更新を検討しましょう。

・変圧器: 約20年
・断路器: 約20年
・高圧気中開閉器(PAS): 約15年
・進相コンデンサ(SC):約20年
・ケーブル: 15年~20年

キュービクル本体の製造には数ヶ月を要する場合があり、工事期間中の停電を伴うことも多いため、余裕を持ったスケジュールで計画を進めることが重要です。

2. PCB含有の有無の確認

古いキュービクル内の変圧器には、PCB(ポリ塩化ビフェニル)という有害物質が含まれている可能性があります。撤去する際は、事前に専門業者によるPCB検査を行い、含有が確認された場合は、法令に基づいた適切な処理・廃棄が必要です。これは、高額な費用と時間を要する可能性があるため、早期の確認が不可欠です。

3. 停電計画と周辺への周知

キュービクルの交換工事では、必ず電力供給の停止(停電)が発生します。施設の稼働状況(営業時間、生産ラインの停止期間など)を考慮し、停電時間を最小限に抑えるための綿密な工程計画を立てましょう。また、停電による影響を最小限にするため、テナント、従業員、近隣住民など、関係者全員に工事日程、停電時間、注意事項を事前に十分に周知することが重要です。重要な設備がある場合は、仮設電源の検討も視野に入れると良いでしょう。

4. 適切な容量と将来性の検討

現在の電力使用量だけでなく、将来的な設備増設や事業拡大による電力需要の増加を予測し、適切な容量のキュービクルを選定することが重要です。容量不足は早期の再交換につながり、過大な容量は無駄な初期投資と運用コストに繋がります。

また、既存のキュービクルに継ぎ足して増設する既設列盤増設や、大掛かりな増設を伴うキュービクル新規増設も、電力需要の変化に対応するための選択肢となります。設置スペースの有無も考慮し、最適な増設方法を検討しましょう。

5. 専門業者への依頼と補助金制度の活用

キュービクルの交換・更新は、高圧電気を扱う専門性の高い工事です。実績と経験豊富な専門業者に相談し、現地調査や見積もりを通じて、施設の状況に合わせた最適な提案を受けることが重要です。

また、高効率な変圧器への交換など、省エネ性能の向上を目的とした設備更新に対しては、国や自治体による補助金制度が利用できる場合があります。これらの情報を早期に収集し、活用を検討することで、初期投資を抑えることが可能です。

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