2026.01.14
- 設備保全・補修
PAS(気中負荷開閉装置)とは?
高圧受電設備(キュービクル)を運用する上で、PASは極めて重要な役割を担っています。しかし、PASについて詳しく把握されている方は意外と少ないのではないでしょうか?
そこで本記事では、PAS(気中負荷開閉装置)とは何かについて、その役割からなぜキュービクルの運用において欠かせないのかなど分かりやすく解説いたします。
PAS(気中負荷開閉装置)とは?
PASとは「Pole mounted Air Load break Switch」の略称で、日本語では「気中負荷開閉装置」あるいは「気中開閉器」と呼ばれます。一般的には、電力会社(電力系統)とお客様の設備を分ける「責任分界点」の電柱上部に取り付けられている箱型の装置を指します。
その名の通り、絶縁体として「空気」を利用しており、高圧の電気回路を安全に開閉する役割を持っています。キュービクルが工場内部の電圧を変換する装置であるのに対し、PASは敷地外からの電気の入り口を管理する、いわば「メインゲート」の役割を果たしています。
PASの最も重要な役割:「波及事故」の防止
製造現場においてPASが重要視される最大の理由は、単なるスイッチとしての機能ではなく「波及事故」を防止する機能にあります。
工場内の電気設備やキュービクル内で落雷や経年劣化によるショート、地絡(漏電)などのトラブルが発生した際、もしPASが正常に作動しないと、その事故の影響が電力会社の送電網を通じて近隣の工場や一般家庭、商業施設へと広がってしまいます。これが「波及事故」です。
波及事故を起こしてしまうと、広範囲にわたる停電を引き起こすだけでなく、多額の損害賠償を請求されるリスクや、企業の社会的な信頼を大きく損なう恐れがあります。PASは、自社内のトラブルを検知した瞬間に回路を遮断し、事故の影響を自社設備内だけに留める「防波堤」としての役割を担っているのです。
SOG制御装置との連携
PASの多くは「SOG制御装置」とセットで運用されます。SOGとは、過電流と地絡を検知して制御する装置のことです。
PAS本体が電柱の高い位置に設置されているのに対し、SOG制御装置は点検しやすい高さに設置されることが一般的です。万が一、キュービクル内部や配線で異常が発生した際、SOGが即座にその異常信号を受け取り、PASに遮断命令を送ります。この一連の動作が瞬時に行われることで、地域の電力インフラを守ることが可能になります。
PASの寿命と交換・更新のタイミング
PASは過酷な屋外環境にさらされているため、定期的な点検と計画的な更新が不可欠です。
一般的に、PASの更新推奨時期は10年〜15年とされています。外観上は問題がなくても、内部の電子部品の劣化や、開閉機構のグリス切れ、パッキンの硬化による雨水の浸入などが進行している場合があります。
特に製造現場においては、以下の兆候が見られた場合は早急な調査が必要です。
- 設置から10年以上が経過している
- SOG制御装置にエラー表示が出ている
- 外箱に腐食や錆が見られる
- 絶縁油の漏れや異常音が発生している
キュービクルの交換や修繕を行う際、多くの企業様がPASの更新を同時に検討されます。これは、工事に伴う停電を一度で済ませられるという効率面だけでなく、受電設備全体の安全性を一括で担保できるという大きなメリットがあるためです。
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